壁棚レイアウトに敷くレールとしてメルクリンのCトラックを使いH0ゲージの2線式/3線式(メルクリン)兼用路線にすることにしました。
単なる直線、曲線レールは単純でCトラック裏の右レールと左レールをつなぐ金具を切断すればOK。
問題はポイント(通常)で、皆様の改造記事を見ましたが、
DB103さんの「試行錯誤 メルクリンCトラックポイントの二/三線共用化改造」記事に、2線化は成功したが
「3線(メルクリン)として使用したらリードレールを集電シューがまたぐときにショートするようになった。
調べたらオリジナルはリードレール部分は無電状態でまたぐとき集電シューが触れてもいいようになっていた。」

という問題があったということで、2線のときと3線のときでリードレールへの給電する金属板を抜き差しして替えるという運用回避となっているということで、今後の課題とされてました。
自分の壁棚レイアウトでもこの運用は耐えられないので、この問題を回避する改善版を作りました。
(1)検討
ちなみに、大型のワイドポイントはこのような仕組みになっておらず、横から見ると中央の3線軌条の突起が線路より高くなって集電シューがリードレールに触れないようになっています。じゃあ通常ポイントも3線軌条突起を高くすればとも思いますが、おそらく大型ポイントは長いので緩やかな突起の起伏になりうまくいっているのでしょうが通常ポイントの長さでは突起の起伏が急になり集電がうまくいかないので今のような方式を取ったと考えられます。なので突起を高くする案はパスします。

ポイントのパーツは
「トングレール(可動する部分)」
「リードレール(トングとフログの間)」
「フログ(クロスする部分)」
に分かれています。
今回の問題は
「3線時に直線側を進む際に、カーブ側のリードレールを集電シューがまたぐ際にリードレールに触れている。リードレールには電気が流れているのでショートしてしまう(曲線側も同様)」
ということで、
・直線側を進む:カーブ側リードレール=無電、直線側リードレール=通電
・曲線側を進む:カーブ側リードレール=通電、直線側リードレール=無電

という状態になっていれば2線でも通電しているし、3線でも無電のリードレールをまたぐので通過できることになります。
上記のような通電状態にするために、トングレール(可動する部分)の動きを利用することにしました。
トングレールとリードレールは、
・直線側を進む:直線側のトング・リードが一直線になり、曲線側のトング・リードは折れ曲がる
・曲線側を進む:直線側のトング・リードは折れ曲がり、曲線側のトング・リードが一直線になる
という動きになるので、これを利用し直線・曲線トングレールの外側に銅線を付けて
・一直線になった側はトングレールにつけた銅線がリードレールに触れる角度になり通電
・折れ曲がった側はトングレールにつけた銅線がリードレールから離れる角度になり無電

となり実現できそうです。
(2)実際の改造
改造方法の半分以上はDB103さんの記事とかぶります。
(2-1)線路端の左右通電切断

直線レールなどと同じように、線路端の右レールと左レールが繋がっているところをニッパー等で切断し通電しないようにします。ポイントなので計3か所行います。
(2-2)フログの無電化
まずフログ部分を無電化するためにフログを外します。

裏側の折っている鉄板を真っ直ぐにした後にすぐ隣のフログのピンを鉄の棒で押すとフログの片方だけが持ち上がります。

ここで先ほどの鉄板部分(Aの形をした金具)がフログから外れると思うので少しだけ曲げてフログの穴に戻らないようにします。
フログのもう片方はレールの下に突起が潜り込んでいるので、ピンを真上に押してもうまく外れません。
先に押した側の方を斜めにしながらじわじわと押し出して取ります。

取り出したフログは、フログから先のレールとの間を絶縁したいので、先ほどのレールしたに潜り込んだ突起+さらにフログ自体も1㎜弱ほど鉄鋼やすりで削ります(ダイソーのダイアモンドやすりで十分でした)。

後は、再びポイントにはめ込みます。
(2-3)A型金具の一部削除
リードレールの内側にAの形をした金具があります。一端は先ほどのフログの穴にはまっており、もう一端は左右のトングレールの根本につながっています、メルクリンの仕組みでは左右のレールから電気を通しフランジから車両へ給電するためとフログに給電するためのものです。
これがあると左右のレールが通電してショートしてしまうので、皆様の改造記事だとA型部分を全部撤去していますが、「左右が分かれる」および「フログにつながらない」ようにすれば残しても大丈夫のようです。
今回は以下写真のようにカットして、元の金具と瞬間接着剤を付けて金具を一部残しました。


なお、瞬間接着剤で付ける側は鉄板がリードレールに接触して通電しないように注意。
ここまでの段階でテスターなどを使って、ポイント切り替えしながら「フログが無電」「左右リードレールが無電」「左右のレールと近くのトングレールは通電(常時)」などを確認しておいてください。
(2-4)トングレール外側に銅線はんだ付け
検討の通り、トングレールとリードレールが一直線になったときに通電するようにトングレールの外側に銅線をはんだ付けします。
銅線は、鉄道模型車両の集電にも使われる素材がよく、リン青銅線やベリリウム銅線などがいいと思います。今回はベリリウム銅線(0.2mm)にしました。

ポイントをクリップ等で立てるようにして、はんだ付けするトングレール外側が水平になるようにして、はんだ付けする位置に銅線を置きはんだ付けします。(もう片方のトングレールの外側も同様に実施)
はんだ付けがうまくいったらポイントを切り替えしたり、トングレールを軽く横動させてみて、見た目やテスターなどで接触、通電状態を確認してください。
あと経験として、半田ごての熱を当て過ぎて変形が生じたためか、たまにトングレール自体に通電しなくなる、トングレールの動きが渋くなり完全に切り変わらなくなった場合がありました(最悪失敗でポイント廃棄)。
まずは、変形しないように素早くはんだ付けすること。通電しなくなった場合はトングレールの根本の「回転する部分」-「(A型)金具」-「トングレール」のどこかでうまく通電してない可能性があるのでそれぞれの間を薄い金具を差し込み気味に動かしてみて通電するよう調整してみてください(先ほどカットしたA型金具の薄さがちょうどいい)

「一直線のとき、リードレールに触れている(=トングレールが接するレールとリードレールが通電している)」
「折れ曲がっているとき、リードレールから離れている(=トングレールが接するレールとリードレールは通電していない)」

理想は、真っ直ぐな銅線をトングレールの横に平行にはんだ付けするのだから一直線になったらぴったりリードレールに触れて通電といきたいところですが、トングレール自体も多少ぐらつきもあるのではんだ付け後に、銅線を曲げたり伸ばしたりの調整が必要です。
(2-5)分岐先の通電(非選択型)
後は、フログの先の分岐先のレールに電気が通っていない状態なので、右ー右、左ー左のレールをコードでつないでおきます(2線式にした場合分岐先のどちらも電気が流れている非選択型ポイントという状態)。

これで加工は終わりました。
(3)2線/3線車両の動作確認
基本的な通電状態は(2)改造時のテスター等で確認していると思いますが、実際に2線式、3線式の車両を走らせてみて「ショートしないか」「途中で止まらないか」「脱線しないか」等を確認してみてください。




フログが無通電となっているので、2線式の2軸動力車などはここで止まってしまうものもあるかもしれません(うちで一番厳しい車両と思われるイタリア国鉄の入れ替え機Sogliola(魚の”ヒラメ”)ことSerie 208ですが、カーブ側で止まってしまう場合がありましたが、勢いよく通過させればなんとかなりました。)
こうしてできたCトラックポイントの特徴は
・2線/3線兼用
・非選択式ポイント
・スプリングポイントとしての使用は不可
となります。
あと、レールを布等でクリーニングする際に銅線に引っ掛けて壊す可能性があるので注意してください。
*******************
次回 メルクリンCトラック 【ワイドポイント】 2線3線兼用化改造
*******************
その他参考
なにわ鉄ちゃんの会 メルクリンCトラックの改造
【追記】
こちらの記事(ドイツ)では別方法として、中央の突起を追加しているようです。
・リードレールには常時隣りのレールと通電状態
・集電シューがリードレールをまたぐ辺りに新たに3線軌条の突起(少し高め)を4か所追加し、集電シュー通過時にリードレールに触れないようにする。
最近のコメント